MKCRプロジェクトとは
 武庫川女子大学関西文化研究センター(MUKOGAWA Kansai Culture Research Center、略称:MKCRセンター)が推進する共同研究プロジェクトです。研究課題は「関西圏の人間文化についての総合的研究−文化形成のモチベーション−」、2004年度文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業・学術フロンティア推進事業に採択されました。研究施設費(初年度に補助〔補助率1/2以内〕)、研究装置・設備費(初年度に補助〔装置:補助率1/2以内 設備:補助率2/3以内〕)、研究費・研究スタッフ費(私立大学等経常費補助金特別補助〔補助率1/2以内〕において5年間補助)の補助を受け、5ヵ年計画でプロジェクトを推進します。





基本コンセプト
 本プロジェクトが遂行する「関西圏の人間文化についての総合的研究」の目的は、「関西圏の人間文化」がどのような要素をもち、いかなる環境の中で生成されてきたのかを検証し、文化を生み出す元となったモチベーションの生起過程を明らかにすることにあります。関西という地域は、国際的に、あるいは日本内部のさまざまな地域との異文化交流を重ねながら、歴史的に独自の先進的な人間文化を形成してきた地域です。そこにみられる人間文化は、日本における重要な位相であるといえます。特に19世紀以前は関西から様々な文化が全国に向けて発信され、日本の人間文化形成に大きな影響を及ぼしてきました。それゆえ、関西という一地方の地域研究が単なる地域研究にとどまらず、日本の人間文化そのものの研究となりうるのです。
 そのような歴史と伝統をもつ優れた関西圏の人間文化のメカニズムの解明のために、文化形成のモチベーションの生起過程と維持の実態を明らかにしようとするのが、本プロジェクトの最大の課題です。研究の最終段階においては、「文化生成のための理想社会モデル」を提言し、21世紀の新しい人間文化形成に寄与することを目ざしています。
以上の目的のために共同研究を実施する意義は、次の点に集約されるでしょう。
  • 単一の学問領域からのアプローチによる限界の克服
  • 社会科学的な手法の導入および他領域からの検証
 具体的には以下の方法によって学際的共同研究を推進し、上述の目的を達成します。
  1. 「関西圏の人間文化」に関わる「キーワード」と「関連データ」(説明データ・資料データ等)の抽出。人文学による文献学的研究成果と手法が有効。
  2. 情報科学によるデータベースの構築とWebアプリケーションによるネットワーク型学際的共同研究基盤の構築。
  3. 「キーワード」を核にした各学問領域からの検証。
    1. 人文科学分野からの歴史的文化の分析・検証
    2. 社会科学分野からの文化創出社会の社会構造分析・検証
    3. 生活環境学分野からの生活内容・生活空間の科学的分析・検証
    4. 他の学問領域(工学・ジェンダー等)からの分析・検証
  4. 各学問領域からの分析・検証を統合し、データベースの校正・精度向上作業を行い、「関西圏人間文化データベース」(MKCRデータベース)を構築。
  5. 同データベースに統合された「キーワード」「関連データ」を核にした、社会科学的手法の導入による「関西圏人間文化創出の社会モデル」の想定。
  6. 各学問領域からの検証(特に社会科学面からの現代社会との比較・分析)。
  7. 「文化生成のための理想社会モデル」の提言と各学問領域からの検証。MKCRデータベース上には「関西圏の人間文化」に関わる「キーワード」「関連データ(説明や資料のテキストデータベースや静止画・動画等のイメージデータ、音声データ等)」が蓄積される。
 具体的な研究グループとしては、人間文化を形成する基本的なカテゴリーである、A) 思想・文化の変容と創造、 B)言語・コミュニケーションの混交と再生、C)文学・芸能の継承と創出、D)世相・風俗の形成と展開、E)生活様式・習慣の生成と洗練、の5つを設定しています。
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研究内容
〔共通プロジェクト〕
 本プロジェクトにおける共通研究として、関西圏の人間文化に関わる「キーワード」と「関連データ」をデータベース化します。この場合のキーワードとは、関西文化の特質をとらえると考えられる語彙・フレーズです。各サブ・プロジェクトでは、研究の遂行過程でキーワードを抽出し、定義を行います。研究センター・総括班では、これら提出されたキーワードの検討を行うと共に、独自にキーワードの収集・抽出を行います。同時に「関連データ」(関西文化資料、学術論文、静止画・動画等のイメージデータ、音声データ等)を収集し、MKCRデータベースとして蓄積します。関西圏の人間文化についてのイコノロジカルなデータベースを志向しています。
 このMKCRデータベースは、学際的共同研究の研究基盤となるものです。あるサブ・プロジェクトから提出されたキーワードをさまざまな分野の研究者が検討し共有することによって、そのキーワードの異なった側面がみえてくることになるでしょう。それは他分野との共通性を気づかせることともなります。特に「特質である」と意識していなかった事象が、他分野の研究者の目を通すことによって、特質としてクローズアップされてくることもあるでしょう。
構築するMKCRデータベースを共同研究者間で共有し研究基盤とすることで、研究グループのサブ・プロジェクト間の共通認識を形成し、それぞれ個別の研究の過程と成果を総合することを可能にします。MKCRデータベースは将来的にはウェブ上で公開し、「関西圏人間文化データベース(仮称)」として利用されることとなります。

〔サブ・プロジェクト〕
 上記の共通プロジェクトを研究センター・総括班が中心となって行うと同時に、サブ・プロジェクトではそれぞれの研究課題を追究します。サブ・プロジェクトは以下の5つの研究グループに分類しています。それぞれの観点から、関西圏の人間文化を生み出す元となったモチベーションの生起過程を明らかにします。

  1. 思想・文化の変容と創造
     関西で発達した思想や文化について、メディアを始めとする特徴的な事象をとりあげて考察します。また武庫川女子大学が所蔵する古典籍、特に上方狂歌資料をデジタル・アーカイブ化し、さらに内容的にもテキスト化及びデータベース化することによって、関西地方の文化サークルの具体相を示す資料としての利用に供します。
  2. 言語・コミュニケーションの混交と再生
     現代においても独特の部分を残す関西地方の言語についての歴史的変遷、現代社会への影響、言語が生み出すコミュニケーションについて検討を行います。
  3. 文学・芸能の継承と創出
     関西圏において生み出されてきた数多くのすぐれた文学や上方芸能について、その生成土壌や特質を明らかにします。
  4. 世相・風俗の形成と展開
     関西圏において醸成されている世相・風俗について、世代間や地域における問題などに着目しつつ検討を行います。
  5. 生活様式・習慣の生成と洗練
    衣食住を中心に、関西で生成されてきた独自の人間文化について追究します。
 以上の研究成果からは関西圏の人間文化の独自性が明確になりますが、それは対国際、対東京という図式での比較研究、ローカル文化としての独自性を主張するものではありません。関西圏の人間文化が日本全国へ発信され、日本の人間文化として普遍性を獲得している具体相としての「生成モデル」が構築されているかを常に検証します。そのことによって、関西圏の人間文化の総体を立体的な「文化生成の社会モデル」として規定し、最終的には「文化生成のための理想社会モデル」として提言します。複雑化、多元化する日本の人間文化についての研究の新たなパラダイムの構築を目指すものです。




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