●2006年1月19日 第27回MKCRセミナー

発表者:佐野 宏氏
      
福岡大学人文学部助教授
題目:風土記の転訛地名について-日本書紀との関わりから-

日時:2006年1月19日(木)17時~18時30分
会場:武庫川女子大学学術研究交流館 会議室
 
発表要約
風土記の転訛地名について-日本書紀との関わりから-
佐野 宏

 古代日本の地名などの固有名詞にはしばしばその命名起源を併せて記すものがみられる。固有名詞は「本来翻訳不能の語」であり、社会的共通了解のもとに一般語のような語義の発動を停止し、固有指示を付帯した符号として成立するものである。固有名詞の語義を考えることと、歴史的事実としての命名とは次元が異なる。固有名詞に語義を与えることは、事実上起源を作り出す行為でもある。もはや不可知的となった命名の意図をもとめる現在から、そこに投射された解釈が命名の起源である。従って、起源説話と固有名詞の関係は、その当時の「語」に対する分析のあり方を窺い知る上で好材料となるものである。

 その中にあって、時として、地名などが転訛したことを併せて記すものがある。転訛しているという判断もまた語に対する一つの解釈ながら、そこには転訛の前後での二語を同定する視点が介在している。つまり、そもそも符号的性格を有する固有名詞の転訛について、何をもってもとが同じだと判断し、何をもって異なっていると判断したのか。

 この点について、日本書紀にみられる「訛」注記を手掛かりに、豊後、肥前のいわゆる九州風土記、逸文甲類にみられる「訛」注記とを比較しつつ、両者の関係について述べた。




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