●2005年1月8日 サブ・プロジェクト・セミナー
共催:町家再生研究会
発表(1)伝統的建築物群保存地区の景観行政
       寺本健三
(京都市都市景観課課長)

発表(2)伝統建築物群保存地区への観光の影響
       宗田好史(京都府立大学助教授)

日時:2005年1月8日(土) 13.30〜15.30
会場:京都市健康保険組合保養所 きよみず
    (京都市東山区清水4丁目200番地 tel:075-561-9900)
(作成 平野、天畠、大谷)

■出席者 (敬称略)
  岡崎甚幸(武庫川女子大学、京都大学名誉教授)
  大谷孝彦(設計事務所ゲンプラン、京町家再生研究会)
  天畠秀秋(武庫川女子大学)
  中川理(京都工芸繊維大学)
  宗田好史(京都府立大学)
  末川協≪京町家再生研究会)
  吉田秀雄(幾央大学)
  寺本健三(京都市都市景観課)
  芝田佳奈(武庫川女子大学)
  平野麻衣子(武庫川女子大学)  
 
 欠席
  大場修(京都府立大学)
  加藤邦男(大阪産業大学教授、京都大学名誉教授)
  佐野春仁(京都建築専門学校)
  丹羽結花(京都工芸繊維大学助手)
  増井正哉(奈良女子大学)    
  室崎益輝(独立行政法人消防研究所理事長)
  矢ヶ崎善太郎(京都工芸繊維大学助教授)

    
■議題  (1)寺本健三氏の発表
        題目:伝統的建築物群保存地区と景観法
     (2)宗田好史氏の発表
        題目:伝統建築物群保存地区への観光の影響
      (3)寺本健三氏・宗田好史氏の発表に対する質疑

■配付資料 
1、 伝建地区と景観法
2、 京都市伝統的建造物群保存地区条例
3、 産寧坂伝統的建造物群保存地区計画

■寺本健三氏 発表の要点 

 ○伝統的建造物保存地区(以下「伝建地区」)
  ・昭和50年(1975)の文化財保護法改正により、重要伝統的建造物郡保存地区の制度が
   できた。
文化財とは、今までは単体だったが最近は町なみなど連帯しているものにも適用され価値の変換がなされた。
   
   現在59市町村(66地区)が指定を受けている。
    代表例)京都以外では倉敷市・高山市・妻籠町・白川郷・篠山市
 
  ・篠山市(最新例)
   武家屋敷は数棟しか残っていなく、武家屋敷の元の形の町割りが残っているから価値があるということになっている。
   現在の伝建地区は、古いものを残していくことから町づくりを想定した中で地区を指定していく方向に変わってきている。
   
   京都で最初に行った伝建地区の考え方から町づくりの方に変わってきているという感じを受ける。
   景観法ができた同時期に文化財保護法はまた改正され、今度は文化的景観というものを導入しようとしている。
   →文化財の考え方も発展していっている。

  ・伝建地区のモデルは、昭和47年(1972)の京都市市街地景観条例による「特別保存修景地区」:産寧坂地区(昭和47年)・祇園新橋地区(昭和49年)
   →こういう町並みを放置しているとどんどん荒れ果ててしまい、それは京都のアイデンティティが失われていくのではないかと危機感を持って地元に働きかけにいった。
    ベースは風致地区・美観地区で規制するが、その代わり誘導として修景のための補助金が出る(今までは規制するだけだった)。
   この考え方が取り入れられて文化財保護法が改正された。
   
  ・京都市の支援型類似制度
→「歴史的景観保全修景地区」・「界隈景観整備地区」・「歴史意匠建造物(建物単体)」
 があるが、伝建地区にならないと防火規制を緩和できない。

 ・祇園町南側(歴史的景観保全修景地区に指定)
 伝建地区ではないが準防火地区・防火地区をはずした。
 しかしそれでは防火構造上少し問題がでてきてしまう。
 →木で格子は入れるが内側の建具はは網入りガラス 
   軒の裏に不燃材など建築基準法40条で付加している。    

・三条通り(界隈景観整備地区に指定)
 洋風建築も町家もあり風情がある。
    界隈建造物という単体にも重要界隈地域にも補助金が出る。
  
  ・京都市市街地景観条例を骨格にして景観法はできた。
   国が国の法律で美しさを保全・創出するために法を作ったということは画期的なこと。
   今は各自治体がどう使用したらいいのか模索しているが、じわじわと浸透して変わっていくと思う。
   景観法は大きな意味がある。

 ○伝建地区の指定
  ・伝建地区に指定するためには、そこにどのような建物が建っているかなど徹底的に調査することが必要である。(昭和初期以前が対象)
   
  ・伝建地区に指定するには所有者の同意が必要 
   指定を受けると相続税が約30%免除される。
   補助金の割合も違う(伝建地区:5分の4、非伝建地区:3分の2)。
   優遇はされるが、指定されると勝手に変えられない。
   大方の同意を得られなければ伝建地区には指定することは難しい。

  ・妻籠は公共事業で修理・修景しているが京都は自分たちのお金でやってもらう。
   →変化は遅いが自分でやっているという意識を持ってもらうのは大事なこと。

   住居系・店舗系・石塀小路などだいたい3つの様式がある。
   産寧坂が一番古くて、二年坂になるほど新しくなってくる。
   土塀は今でも残っているが様子がちがう。
   八坂のあたりも少し変わっているが古い建物も残っている。
   石塀小路が大正時代で一番新しい。

  ・全国の伝建地区でいちばん観光客が来ているのは産寧坂である。 
   住居系から店舗系への変更がいちばん多い。
   住居系・店舗系の様式というものがあり、全体的な雰囲気としては店舗系になってきているが、様式的には規制をかけて守らせている。
   店舗系が多いというのは観光客が多く、商売に適しているため。
   
   将来的にはもっと住居系が減っていくのかもしれない。
   
  ・一番の問題は防災
   伝統的な建物は地震に弱く、またその時に起こるであろう火災にどう対処するか。
   
   「災害から文化財遺産と地域を守る検討委員会」のモデル地区に産寧坂周辺が指定されており、様々な検討されている。

  ・眺望景観をどうするかも問題
 石塀小路の北端に大きなマンションができてからの話。周辺の店舗が屋根の上に抜いたダクトが、マンションの上から見えるので景観が損なわれたと言ってきた。
 
・石塀小路は商業地域に指定されているのでラブホテルが建ちそうになった時があったが、回避された。地元が揺れた時期。

・京都市の伝建地区に対する補助金
   大半は産寧坂に投入されている。
          (執行予算  /配分予算)
    平成13年  5200万円/7000万円
    平成14年  3200万円/5700万円
    平成15年  3300万円/5700万円
   
   一戸あたり平均250〜300万円ぐらい投入されており、寺院などの大規模なものは二回に分けて改修したりする。
   
 ○景観法について
   GDPが世界第2位になっても豊かな暮らしだとは思えない。  
   →美しい国土、地域をつくろう。
   
   条例の限界を超える規制・罰則が可能になる。
規制緩和は条例ではできないので国法で行っていこうという考え方。
相続税対策
   
公共重要施設:公共建造物を景観計画に盛り込める。
   例)伝建地区の電線地中化は優先的に促進される。
   
   文化的景観という新しい概念
   →自然と人間が織り成す生活やなりわいと関連した景観を保全する。
   近江八幡市をモデルにしてみるなどして考えていこう。
   
文化財保護法の文化的景観というものも景観法の概念の中に入っており、つまり国土全体の景観は景観法でオーソライズしようという意図であろう。

■宗田好史氏 発表の要点
 
 ○観光の問題
  ・観光と商業は町家ブームの今後を考える上で避けられない問題である。
   元々町家は住まうためのものだったが、ここ十年の間でよくも悪くも町家がブームになり経済活動の中で注目されるようになった。
その端的な現象が伝建地区で現れている。
  
  ・京都市の観光入れ込み客数
1975年までは京都に観光にくる人はずっと増えている。
しかしそこからは横ばいで、同時多発テロが起きてから増加してきている。
停滞した25年間は中身がかなり変わっており、停滞した原因のひとつに日本人が海外に行くようになったということがある。

  ・京都に来る観光客は20代が減ってきて、50代が増えている。
   現在、京都は中高年代の観光地といえる。
   →クレープなど若者目当てのお店では厳しいので、店舗の内容が変わってきているのも当然のことである。
    新陳代謝が激しい地区

  ・特に男女雇用機会均等法が施行されてからは女性の観光客が増加している。
   現在、観光客の7割は女性でしかも10回以上来ている人が75%にもなっており、そのような観光客がどういったところを好むのかが問題。
   
  ・清水と嵐山
   1950年代までは清水と嵐山の観光客数は競っていたが、現在では清水の一人勝ちになっている。
   京都市の年間観光客数4千万人が維持できているのは清水(伝建地区)のおかげである。
   
  ・清水と金閣
   清水の観光客数は増えているが、金閣の観光客数は増えていない。
   清水:中高年、女性の獲得できている。
      リピーターがいる。
   金閣:中高年が獲得できていない。
      リピーターがいない。
   例えば男性は八ツ橋を買うが女性は漬物を買う。
   →観光客層にあわせたお土産・レストランの必要性

○清水が観光客を獲得できるのはなぜなのか
 原因は伝建地区ということにある。
 清水では累積6億円以上かけており、投資した分、観光客も増えている。
 →投資価値のある事業といえる。
 住宅を店舗、店舗を店舗に改装(最高600万円の補助金)するのでお金がかかってしまう。
 
・産寧坂の青龍苑
 客層の違いを見て店に置くものに変化を与えている。(西利など)
 
 ○先斗町の業態構成の変化
   1957年:お茶屋が多い
   1999年:お茶屋は激減し、スナックや和風居酒屋が拮抗している。

  ・町家を改装した方へのアンケート
   改装の様式を「現代風(大理石・メタルなどを利用)」、「和風(木・紙などを利用)」、「その他」の三つのうちから選択してもらった。
   1980年代は現代風のデザインにしたところが多いが、現在は和風の方が断然多い。
   →1980年代に町家を保存しようというのは無理な話だったが今なら可能。
   
  ・「町家保存は必要か?」という質問
   1980年は保存派が20%だったのに対し、2000年では83%となっている。
   →京都市民の意識が劇的に変わってきた。
    
○町家再生店舗がどう分布してどう立地したか
  町家再生にはなぜレストランが多いのかというのを調べるために、店舗の増減・業種・それがどこに分布しているのかを見てみた。

御所から御池:店舗の増加も減少も多い。
   四条から五条:店舗の減少が多い。
   
   店舗は新陳代謝しているところで総量が増えてくる。
   → 商業の活性化
  
   平成 4〜10年:四条河原町に集中していた。
   平成10〜15年:集中が崩れる。
            三条通は新風館の効果もあり西側へ店舗が増えている。
            綾小路通にも飲食店が増えてきた。
            →飲食店が増えているところで店舗も増える。

  平成10〜15年の間に増えた店舗の中で41%は飲食店。
  店舗の増加を支えているのは町家である。
  
 ・飲食業の次に増加したのはサービス業
  サービス業の中で一番増加したのは美容院だが、新陳代謝が激しく2,3年しかもたない。
  →カリスマ美容師、髪を染める習慣をもつようになったのが原因であり、それが都心に立地するようになった。それが集中したのが三条通である。
  
  美容院の次にエステ・ネイルなどのリラクゼーション系が増加した。
   →これらは利益率が高く、建築投資ができる。
    サービス性の高いものが都心に増えてくることで町なみや建築に対する認識が高まってくるかもしれないという期待は持てる。
 
  娯楽系(パチンコ・カラオケ・麻雀)は増加が止まって、減少はいちばん大きい。
  →まちの女性化によるところが大きい。   
   女性化が都心商業を活性化するために非常に大きな効果がある。

  ・平成4〜10年では寺町でコンビニエンスストアやファッション系が増加していたが、平成10〜15年になると三条通など明らかに西側に広がっていっている。
   四条より下は飲食系が多い。

 ○地価
   地価は軒並み下がっているが相対的に見て二ヶ所(三条通、綾小路通)だけあがっている。
・町家ブームの是非論
否定論:東京や大阪の企業が資本を投資し、町家店舗がマスコミを賑わす中で不動産屋が町家を買いあさっていく。
    京都の安易なまねが地方に蔓延している。

   肯定論:社会が成熟し、安定成長、高齢化、女性化などに対する要求に日本の中で唯一こたえられるのが町家である。
商業サービス企業の変化し業種・業態は個性化に走る。
商業建築のデザイン傾向が和風になってきている。

○京町家
   平成10年代
   →行政対象(何らかの手当てをしているもの)=6%(28000軒のうち1800軒)
    その他94%がただの老朽木造住宅
アンケートをしてみると、「町家の定義が分からない」「自分の家は町家ではない」
という方が85人ほどいた。
   
・町家再生の課題
観光地における非常に激しい商業化:今後、京都の都心をどう考えていくか。
町家ブームの複雑な背景
文化財行政から景観行政へ
取り扱う専門家の増加
歴史的建造物の保存・修復・保全・再生・活用
歴史的建造物法の発展:欧米と日本では歴史的建造物に対する哲学が違う。
 
ヴェニス憲章(ICOMOS)から奈良オーセンティシティ宣言
→多様性・統合性というものが言われるようになってきた
 
現在は保存哲学が薄れてきている。
地域ルールがあって、多様な建築文化としての保存・修復のあり方をもっと考えていくべきである。

   文化財建造物は僅か、歴史的意匠・伝建地区など修景助成できる対象にも限度がある。
   文化財保護法の改善
   →文化的景観・民族的景観
 
  ・昭和52年〜60年:観光客の増加(店舗も増加)
   飲食店は常に増加しているが、土産物店は増減がある。
   土産物費は伸び悩んでいるのに対し、飲食費はじわじわと増えてきている
   また装飾品・工芸品への消費が確実に増えてきている。
     
  ・二年坂・産寧坂の観光商店
   →「食事」へ魅力の高まりがうかがえる。
    土産物店は伝統工芸品店・装飾品店が大半を占め、人気土産物店はあまり見られない。
    飲食店は日本料理が大きな割合を占めている。 
    産寧坂では二年坂に比べ、土産物店の試占める割合が大きい。

  ・清水坂の観光商店
   個人客に対応できていない団体観光客向けの古いタイプの観光商店が多い。
   集客性が悪く、売り上げが上がっていない。
   飲食店は伝建地区のような増加が見られていない。
   土産物店は伝統工芸や装飾品といった単価の高いものを扱っている店が圧倒的に少ない。
 店舗の新陳代謝が起こっていない。

 建築の自由が保障されているところで投資が行われなくなって、建築の自由がより制限されているところ(伝建地区)で商業活動の新陳代謝が起こっているという逆転現象が起きている。

○まとめ
  ・京都の観光客・京都の観光客:中高年化・女性化
10回以上来ている中高年の観光客が7〜8割を占めている。
→求めるテイストが以前とは変化している。
 町家そのものが残っていることを喜ぶが、だからといってその人たちが町家再生店舗を喜ぶかというと必ずしもそうではない。
  
・京都をよく知っている多様な人たちの目にさらされていて、観光客と対話しつつ頑張っ
 ていくことが大切なのではないだろうか。
・様々な業種・活動を包括するような形で町家の活用のあり方を考えることが必要となっ
 てきている。
 様々な活用の自由を保証しながら、町家が景観の一部としてこの町固有の文化的な伝統
 とそれを軸にクリエイティブな活動をしていく人たちの欲求に答えるように建築物で
 解決するという新しい方向を示さなければならない
  批判するのは容易だが、どのような提案ができるのかということを考えていかないといけない。


■質疑・議論のまとめ
○大谷孝彦
・三条通のお店が増えているといおっしゃっていましたが、町家に限ってですか?

○宗田好史
 ・町家だけでなく全ての店舗を対象としています。全体の店舗からすると町家再生店舗は
  4〜5%ぐらいで、その中で70%は飲食系です。
  町家に限って言うと、その変化がより極端に出るという傾向にあると思います。
都心に起こっている商業の業態の変化を凝縮して見ることができるのが町家です。

○大谷孝彦
 ・町家ブームが問題になっているのですが、町家以外の要素もある京都という大きなブランドの中で町家が関連しているのですか?
 
○宗田好史
・そうですね。それに押し上げられているということですね。そんなに変化の起こっていないところで町家を活用しようという動きは全く起こりません。

 ○京極
 ・伝建のありかたなど大変勉強になりました。
  都市のにぎわいは商業店舗のにぎわいなのですか?特に都市居住の話はどうなるのでしょうか?
  そして清水に参拝する人と、産寧坂や二年坂あたりの人との間にはどのような関連があるのでしょうか?

 ○宗田好史
 ・団体客も含めて清水へ参拝する人の8割以上が伝建地区に行って、伝建地区に来ている人の3分の1は清水には行かないです。また、石塀小路に来ている人の8〜9割は清水に参拝しません。
  
京都の都心ではマンションも戸建住宅も増えており居住人口は増加していますが、商店数は劇的に減っています。
  それでも局地的に見ると増えているところもいくつか見られます。
  都心が商業地化しているのではなく、住宅地化していたのです。
  都心は中高層住宅地区になってきていますね。

 ○中川理
 ・まさに正念場にきているのだなと思います。
  観光客も増えて町家も注目されているが、観光客が増えると、安物の大衆が増えてしまってだんだんと飽きられてきつつあるみたいです。静けさや品位といった本物が求められている。木屋町や河原町が乱雑な町になってきていることを受けて移ってきている。
  
  高品位で本物を実現できるかといった時に、日本の場合、欧米と違って、歴史的遺産を活用するノウハウがなく消費者の方もニーズが分からない。
  そんな中で現在は資本がリードしているが、商業的な価値ではないものがリードしていける方法がどこにあるのかというところで、景観法に期待するということになるのでしょうか?
  
難しいのは国として作るので、基準としてよい景観・悪い景観を考えないといけないことです。今まではその価値が商業的に投資効果があるかということで考えていたところを、それとは違う基準で景観法によって考えられるのではないかという可能性で景観法は期待されると思います。
国は美の基準を設けようとしています。私も農水省に「農村の景観の美しさとは何か」と聞かれ、このような基準を作ろうとする傾向が危惧する点です。
生活レベルでの価値基準から景観にもっていくのが重要で、これができるかどうかがまさに正念場なのだなと思います。

 ○寺本健三
 ・景観法は枠組みを作っているだけにすぎず、何が美の基準かというのは各景観行政団体が市民と一緒に考えてくださいといったようになっています。市町村と事業者と住民が一緒になって考えるというのが建前であります。
  京都の場合、保全型の景観はある程度できていますが、喪失型(住宅地の景観など)の景観は全国に実例がなくて迷っているのが現状です。
  倉敷や京都や高山など今までのやり方の伝統のある所ではできると思いますが、新しくつくるところでどうするのかがこれからの問題です。
伝建地区では本物に近いものが出来上がる。しかし他の美観地区では形や色などつじつまは合うが、それを本物にするかはそこのオーナーさん次第になってしまいます。本物の中でないと骨董品を売るのだって信用できない。だからこのような高級店が伝建地区に増えて、茶碗坂・五条坂にはいかないというのは当然だと思う。そういう意味で伝建地区にお金を投入しているのは価値があると思う。
心配しているのは何が本物か分かる職員が減ってきていること。物の良し悪し分かる人材が必要ですね。また事業者や市民の方も同じで、意識のかさ上げが必要ですね。

○宗田好史 
 ・オーセンティシティと本物の議論とは別のことかなという気がします。本物を探していくという作業は永遠につづいていくと思います。青龍苑でもちょっと上の本物志向の観光客に応えるようにしたが2〜3年でだめになってしまうでしょう。
  町家再生もある地点へいくと、もっと上の基準が出てくると思います。
景観に絶対的な美というものはなく、永遠にディスカッションしていく必要があります。

欧米には無形文化財という概念はなく、日本には町家の中に生活の文化を愛でる力があります。どのような多様なものがあるかという話をするべきである。
今回の文化財保護法の改正の中で注目したいのは登録文化財制度の拡充です。今までは建造物だけだったが、今は建造物以外のものでも登録文化財ができるようになりました。ソフト面をどう愛でていくかが重要になってきます。
どれだけ多様な本物が京都の町家の中にあるのかをどんどん発掘していって、本物探しという作業をしなければいけない。
これと欧米から発展したオーセンティシティとは違うと思います。

 ○恩地
 ・観光客って何なのでしょうね?
  民度の高い観光客は都市を育てると言います。伝建地区は観光客がつくったと認識するべきでしょう。
  観光客の目を活用したらよいと思います。京都のことを知りたかったら堅い論文なんかを見るより本屋に行って観光ガイドを見れば良いですよ。この前見かけたのは「暮らすように京都を旅する」というものがあり、「暮らす」ことの原型を京都に探しているようです。
  
 ○大谷孝彦
 ・我々は拠点を作って派生していく立場で、行政は上からですよね。
  立場を理解した上で役割分担を担っていく必要がありますね。景観法を理解して、どういう方向にしようか考えていきましょう。
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