●2004年10月9日 サブ・プロジェクト・セミナー

発表者:山中浩之・乾善彦・西田正宏(大阪女子大学)
題目:伝中井竹山自筆『詩経断』の考察−懐徳堂の学問と教育−
日時:2004年10月9日(土)13時30分〜17時
会場:大阪女子大学乾研究室
 2003年度に大阪女子大学上方文化研究センターが購入した大阪女子大学付属図書館蔵『詩経断』について、山中浩之氏(大阪女子大学教授)から報告があった。
要点は以下の通り。

 『詩経断』は、購入した帙に「中井竹山自筆稿本 詩経断」とあり、仮綴表紙にも「中井竹山先生」という題簽が貼り付けてある。したがって、「中井竹山」の『詩経』の注釈書と目されてきた。しかし、
  1. 竹山自筆のものとの対校の結果、字体からは「中井竹山自筆」とは思われない。
  2. 「履軒云」(中井履軒、竹山の弟)や「景範云」(加藤景範)などの書き込みが見られる。
  3. 第一冊が「休々亭」の用紙に写されている。「休々亭」は加藤信成(加藤景範の父)のこと。
 以上のことから、「中井竹山自筆」ではなく、また内容も「竹山」、「履軒」の注釈を何ものかがまとめたとするのが穏当である。

 また一句めの注釈内容の詳細な検討から、特に履軒の注釈に近いことが判明した。ただし、大阪大学の懐徳堂には、中井竹山の『詩断』(版本に書き込み)が残されており、今後はこの『詩断』との比較検討が必要である。原本の調査をおこなうとともに、紙焼き写真を手に入れる必要があろう。

 なお、山中氏の報告の後、議論のなかで、『詩経断』の仮表紙に「加藤友輔」宛ての書簡の袋が使われていることが判明した。「加藤友輔」は「加藤景範」であり、上記の点と合わせて考えると、『詩経断』は加藤景範の手になる蓋然性が最も高いと推断されるのである。
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